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専門家と訪ねる滋賀の歴史探訪シリーズ第2回は、江戸時代に交通の要衝として栄えた草津宿へ。当時の情景を描いた浮世絵も併せて紹介します。


今回、滋賀県文化財保護協会の宮村誠二さんが提案してくれたのは、今年の大河ドラマで注目されている、江戸時代にちなんだ草津宿。「江戸と京都を結ぶ東海道と中山道の二大街道が分岐・合流する宿場として栄えました。その様子は当時の浮世絵を通して垣間見ることもできます」。そこで、草津市立草津宿街道交流館の八田将史さんとともに現地を巡り、草津宿ゆかりの浮世絵についても詳しく聞きました。
江戸時代後期に活躍した浮世絵師・歌川広重は、草津のさまざまな情景を描写しています。八田さんによると、「その頃、川床の高い天井川を形成していた草津川は、宿場の北側を流れていました。雨の日以外は水の少ない砂川で、広重は民家の屋根より高い位置にある川の様子や、それを歩いて渡る旅人の姿を細やかに描いています。ほかに、旅人たちが一服した『うばがもちや』の茶屋や、矢橋の港を往来する湖上の帆船などをモチーフにした浮世絵も残していますよ」
旧街道沿いには今も道標や本陣、社寺などがたたずみ、往時の面影を残しています。「本陣とは公家や大名など貴人が利用した宿泊施設のこと。明治に入ってその機能をなくしますが、2軒あった本陣のうち田中七左衛門本陣は郡役所や公民館としてその後も活用されました。代々の当主によって大切に守り継がれ、現存する全国最大級の本陣としてその姿をとどめています」(八田さん)
取材ルートはJR「草津」駅から徒歩圏内。旧草津川の「草津川跡地公園de愛ひろば」から立木神社まで、約700mの間にある歴史スポットを歩いて巡りました。
健脚の人は、立木神社からさらに700mほど街道を進んだところにぽつんと立つ矢倉道標や、草津駅から東へ進んだ国道1号線沿いにある「うばがもちや」本店へ足を伸ばすのもよさそう。周辺には、江戸城を築いた太田道灌(どうかん)ゆかりの酒蔵などさまざまな店があり、歴史情緒に浸りながら食事や買い物が楽しめます。


「うばがもちや」を構えた矢倉立場は、東海道と矢橋道の分岐点にありました。今は道標だけが残っています。
「矢橋道は矢橋港に通じる道。矢橋港と大津の港の間を船で渡る『矢橋の渡し』ルートは、本来の瀬田の唐橋を通る東海道の別ルートで、旅人にとって近道でした。ただし天候に左右され危険が伴うので、遠回りでも陸路を行くほうが確実。ここから室町時代の和歌を引用した『急がば回れ』がことわざとして江戸時代に広まったといわれます」(八田さん)。
広重は、そんな「近江八景」の一つである「矢橋帰帆」の風景を美しい色彩で表しています。
歌川広重画「五十三次名所図会 五十三 草津」(草津市蔵)
矢倉道標