
秋以外もステキなメタセコイア並木


彦根市にある「近江ちゃんぽん亭」本店
「和風だしの効いたしょうゆスープに野菜たっぷり、口に運べばうまみがじんわりしみてくる」。滋賀で「ちゃんぽん」と聞けば、そんな一杯を連想するのでは。
「ルーツは彦根市で1963年に創業した『麺類食堂をかべ』にあります」とは、「近江ちゃんぽん亭」を運営する「ドリームフーズ株式会社」の外食事業本部・山内稜平さん。
「従業員が『野菜をたくさん食べられる麺を提供したい』と、旅行先の長崎で食べたちゃんぽんをヒントに考えたそうです。をかべは和食系の小さな食堂で中華鍋がなく、豚骨も扱っていなかった。そこで店にあった手鍋を使って和風だしと野菜を煮込む、新しい『ちゃんぽん』を生み出したんですね」

「近江ちゃんぽん」の「野菜並盛」は850円。子どもから高齢者まで楽しめるやさしい味で、リピーターが多いそう
これが人気を呼び、看板メニューに。同社会長の山本一さんもほれ込み、1987年に店の後継者となったのだとか。
「その後、会長が彦根市郊外にちゃんぽんを主力にした新店をオープンします。実質的な『近江ちゃんぽん亭』1号店で、この時から自家製麺に。翌年からチェーン展開が始まりました」

「近江ちゃんぽん亭」本店の店内
2004年には県外へ初出店。
「当初、他府県では『これはちゃんぽんじゃない』と言われてしまうことも。長崎ちゃんぽんのイメージが強いので、別物だとわかってもらうため『近江ちゃんぽん』と命名しました」
近江と名付ける以上は滋賀の名物にと、県内にも店を増やし今や30店舗に。さらに東は静岡、西は広島、また台湾にも進出し計56店舗となっています。
「味も改良を進め、2018年に愛荘町の老舗しょうゆ店をグループ化し、よりこだわったおだしに。実は創業当初より減塩し、その分昆布やカツオを増量してうまみを強くしているんですよ」
あっさり滋味深いスープは「飲み干せるほど」と山内さん。「滋賀では日常食の位置にあると思います。今後は全国で、多くの人に評価してもらえれば」
「ドリームフーズ株式会社」外食事業本部・山内稜平さん

創業当時の「焼肉ホルモンすだく」守山店と、代表の西野さん夫妻
「焼肉すだく」は守山市生まれの焼き肉チェーン。2019年の1号店オープン以来、店名に〝すだく〟と入る6業態を展開し、国内45店舗・海外4店舗を営業しています。
運営元である「株式会社総合近江牛商社」の飲食事業部・金山大輝さんによると、始まりは同社代表・西野立寛さんが脱サラして開いた個人店だったとか。
「西野の前職はコンサルタント。主に外食企業の運営に携わり、年間500軒以上の焼き肉店をまわるうち、自分も良い店を作りたいと気持ちが高まったようです」
ウリにしたいと考えたのは、滋賀の銘柄和牛・近江牛のメニュー。

オーダー率が高いという「大皿和牛 飲めるカルビ」。ボリュームがあって、とろける柔らかさが好評
「大手焼き肉チェーンでは扱っていませんでした。当社は西野が起業前にアルバイトしていた関係で、滋賀の食肉センターから内臓を含めた一頭買いが可能に。質のいい肉やホルモンを低コストで仕入れることで、単価を抑えられたんですね」
部位ごとにもみダレを調合、また提供速度の向上にも努めて、地元民の支持を獲得。次は栗東に、続いて南彦根に出店。コロナ禍で落ち込むものの、早期回復してフランチャイズ展開も加速したそう。
今年の目標はフランチャイズで10店舗オープン、海外の店舗も増やしたいと金山さん。地域とのつながりも深めていると話します。
「プロサッカークラブ『レイラック滋賀FC』など、出店地域と関わりのあるチームや選手を支援しているんですよ。スローガンの『家族に元気、地域に活気を』の実現も目指していきます」

県道558号線に面した「豚丼信玄」下阪本本店
北海道帯広市の名物・豚丼を滋賀に持ち込んだ小林稔さん。2008年の「豚丼信玄」1号店オープンを皮切りに、現在県下で3店舗を営んでいます。
「もともと料理人で、ホテルや料亭で20年働いてきました。独立するとき、日本料理などでは老舗にかなわない、滋賀にない豚丼の店を開いて多店舗化しようと考えました」と小林さん。まずは現地へ行き、豚丼の有名店を何軒も食べ歩いてリサーチしたといいます。
「帯広のたれは甘味が強い感じ。その再現ではなく、甘さを抑えて〝かきこめる丼〟を作りたいと考えました。試行錯誤して13種の調味料に野菜などをブレンドした、独自の『醤油ダレ』を作り、『生姜ダレ』『塩ダレ』も開発。豚肉はうま味に定評があるチリ産アンデス高原豚、米は契約農家から滋賀県産キヌヒカリを仕入れることに」

一番人気は「炭火焼 豚丼」の「ロース肉」「醤油ダレ」。わさびとも好相性。並盛り(970円)でもボリュームがあると評判
JR「大津」駅前に構えた1号店は当初「客足が今一つ」だったとか。国道沿いに移ると認知度が上がり、半年ほどで軌道に乗ったそう。2016年には第3回「全国丼グランプリ」の豚丼部門金賞を獲得し、同年に2号店、7年後に3号店を開いています。
「当店は炭火焼き。短時間で外はパリッと香ばしく、中はジューシーに焼き上げます。店舗展開で難しかったのは、最良の焼き加減をスタッフに覚えてもらう点。丼の完成度を左右するので譲れないんですね」
店内外の清潔感も重視し、草取りやトイレ清掃も抜かりはないと小林さん。今後はフランチャイズで大阪や京都にも店を増やしたいと意気込んでいます。

「来来亭」野洲本店
関東から九州まで243店舗(3月9日現在)あるラーメンチェーン「来来亭」。1号店は1997年、野洲市で誕生しています。同社マネージャーの森田晃一さんによると「代表の豆田敏典は、まず従業員として働き始めたんですね。数カ月たったころ『店を買わないか』と打診され、資金をかき集めて引き継いだそうです」
3年目、現場を仕切っていた豆田さんが結核にかかり入院する事態に。「その間、社員たちが懸命に店を営んだことから、代表は『人は任されて頑張ると気づいた』と。店舗展開のきっかけになったと聞いています」

看板メニューの「ラーメン」(820円)。鶏ガラしょうゆのあっさりスープに、背脂で甘みとコクを加えるそう
直営店舗を事業譲渡する〝のれん分け制度〟を作って最短3年で独立可能にすると、意欲的な人材が集まったのだとか。のれん分け店と競うように直営店も増やし、エリアを広げていったといいます。
味はどう保っているのか聞いてみると、「要のスープは鶏ガラを使い、各店で毎日仕込んでいます。ときには来来亭の味を再確認しに、店長が近隣の他店に出かけることも。店によって若干の差はあるかもしれませんが、鮮度や作り手のモチベーションを大事にしています」と森田さん。
食べる人自身が麺の硬さやしょうゆの濃さ、背脂の量などを選べるのも「来来亭」の特徴の一つ。「麺はコシのある細麺ですが、関東では太麺が好まれるので、オプションで選べるように。地域や個々人によって好みは違うでしょうから、カスタマイズしてどこでも好きな味を楽しんでもらいたいですね」

「来来亭」店内